7月8日、東京武道館にて開催された第15回全関東空手道選手権大会に、昭島道場から 武田 雅人 初段が出場し、準優勝を納めました。 武田選手の大会出場レポートをお届けします。
はじめに、第15回全関東大会出場を決めた経緯をお伝えします。 6月に行われた第24回全日本ウェイト制空手道選手権大会で敗退してしまい、11月の第9回世界大会に出場できなくなってしまったのがきっかけでした。 全関東大会出場の申込締切が、ウェイト制大会の翌日だったので、敗退のショックで正直迷っていた部分もありました。ただ自分の中で、「ひょっとしてこのまま終わってしまうのではないか」という不安や焦りに近い気持ちが強く感じられ、出場を決意しました。
ウェイト制の結果が出てから全関東大会までは、1ヶ月。 あっという間に試合当日が迫ってきました。それにもかかわらず、「ウェイト制」を照準にしていただけに、自分にとっては敗退のショックから抜け出せな気持ちが心のどこかに燻っていました。そのような中で全関東大会まで約一週間となった日、三軒茶屋道場での選手稽古中に不覚にもアバラを負傷してしまいました。大袈裟かもしれませんが、不慮の怪我を負った日から試合当日まで「もしかしたら、この試合から生きて戻ってくることはないかもしれない」とも思いました。 反面、逆にそのことで腹をくくることができました。ウェイト制大会の時のように「自分の全てを出し切れなかった」という悔いが残る結果では終わりたくないとの想い。最後の一秒まで喰らいつくことを今回出場の課題の一つとしました。負傷を境に気持ちを切り替えることができました。怪我に対する恐怖感はもちろんありましたが、それと同時に、はやく試合をしたい気持ちが日々強くなっていったことを憶えています。「戦いたい」、「暴れたい」。そんな気持ちが高まる中で、試合当日を迎えました。
初戦の相手は、ウェイト制大会でベスト16の実績を持つ永田真也選手でした。大会第1試合目だったので若干動きが硬く、相手の左右に回りこみながら攻撃を加えることに多少やり辛さも感じましたが、突きで前に圧力をかけつつ下段廻し蹴りを的確に当て、本戦判定勝ちをすることができました。
第2回戦は、第17回および第19回全日本ウェイト制空手道選手権他機会の重量級で準優勝をしている徳元秀樹選手との対戦です。実力があり、かつ実績を残している選手との対戦では、これまで一度も勝ったことがなかったので、この大会ではここが一つのマイルストーンだと思っていました。 これまでの経験から、自分よりも大きい人と対戦した場合には、打ち合いに拘りすぎるあまり身体が正面を向いて固まってしまい、手数が出なくなるというパターンで敗退していたので、今回は相手の正面に立たずフットワークを工夫して、攻撃を加えたら必ず距離を保つ戦法を徹底しました。大きな相手に対し、意地を張らずに「試合に勝つため」に拘ったこの戦法はとても効果的で、本戦、延長と引き分け。体重判定で勝利を納めることができました。本心は、打ち合いに勝って相手にダメージを与えることで勝利を得たかったのですが、何よりも「試合の結果」を優先しました。ただ、この試合での勝利が、かなりの自信につながったことも事実です。
第3回戦は、昨年の茨城大会軽量級チャンピオンの上岡晃選手。準決勝は、数年前の城西カップで対戦して敗退した大谷選手。共に、勝利を納めることがでました。
決勝戦は、昨年のウェイト制大会ベスト4、かつて関東練成大会での対戦で敗れたことがある小沼隆一選手が相手でした。序盤から打ち合いの展開。膝蹴りと下段廻し蹴りを軸に攻めるつもりでしたが、相手にうまくポジションを取られ、徐々に試合の流れを握られてしまいました。最終的には、身体が正面を向いて固まってしまい手数が出ず、本戦判定負けという結果になりました。 自分の一番悪いところが出た試合でした。準決勝まで、順調に試合を進めることができましたが、最後の最後、決勝戦でその悪い癖が出てしまいました。それがとても悔しく残念であり、心に刻まれると同時に、今後自分が必ず克服しなければならない課題であることがしっかりと認識できました。結果的には準優勝で課題も残りましたが、実力があり実績を残している選手との試合で「結果」を出せたという経験は、本当に自信になりました。
試合に勝てるようになったり強くなったと実感できると凄く嬉しく、もっとがんばろうと思えるものです。そこまでの道のりで挫折しそうになったり、道場への足が重くなる事もあるでしょう。しかしその挫折を乗り越えることができれば、人間的にも空手家としてもひと回り成長できると思います。皆様がそのような実感を得られるように、自分も及ばずながら精一杯指導して参りたいと考えていますので、道場生の方々は、これからも頑張って稽古して、自分よりも少しでも強い身体、強い心を目指していきましょう。
最後になりましたが、このような結果が出せたのも、田口支部長をはじめ、真銅先生、近藤会長、長嶺会長、当日試合に出場していたにも関わらず自分のセコンドについてくれた新妻さん、昭島道場で日々一緒に稽古していただいている先輩後輩の皆様、当日応援していただいた皆様のおかげだと思っております。名前を上げるときりがないのですが、本当に周りの全ての方々に感謝したいと思います。皆様のご期待に応えるべく、来年の全日本ウェイト制大会、全日本大会、4年後の世界大会での優勝を目指して、これからも努力、精進してまいりたいと考えておりますので、宜しくお願い致します。本当にありがとうございました。
押忍
武田 雅人
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