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復刻版『足跡』 --[第4回]--    「入門」

入門当日、電話で聞いた場所へ行くと、意外な場所でした。

今でこそ常設道場は当たり前になっていますが、当時は城西も代田橋にしか常設は無かったのです。僕の頭の中のイメージは今の常設道場のようなイメージでしたので、貸会議室のようなその場所は、ちょっと「アレ?」と思いました。
しかも、道場の上だか、となりだか、もう忘れましたが、キャバレーがあり、呼び込みのにーちゃんが道場の入口にいて、手をパンパンたたきながら「シャチョ〜」とか、わけのわからない事を道行く人みんなに言っていました。

本当にこんな所に極真の道場があるのか少し不安でしたが、中に入ってみました。すると、中から何やら掛け声みたいなのが聞こえてきます。

「お〜、ついにナマの極真だ」

と思いながらドアの近くに行くのですが、なかなか中に入れません。
入ろうかどうしようかと、友人のM君と2人でしばらく入口近くをウロウロしてました。
こんな時は中の人に見つけてもらって、

「あれ、見学の方ですか?」
「あ、はい」

なんて感じで入れてもらえば楽なのでしょうが、僕たち2人は中の人にも見つからないような所にいたのでそんな事はあり得ないのでした。

のぞきたいのに、のぞけない感じでした。しばらくすると    『ビシッ』    とか    『バシッ』    とかいう音が聞こえてきました。素人の僕らでも中で人間同士がが戦っているという事はすぐにわかりました。
2人とも「これは見なければ!」と思い、勇気を出して開けっ放しのドアの所に行きました。すると中では色々な人が突きや蹴りを出して戦っています。一目見ただけで「これだ!」と思いました。しかし当時そこにいた人達は、「見学ですか?」なんてやさしく話し掛けてくる人などなく、みんなチラッとこちらは見るのですが、それだけでした。ここで見ていてもいいのかな?と思いましたがとりあえず最後まで見てました。稽古が終わってどうすればいいのかと思っていた時に、その時の指導員、O先輩(当時)が近付いて来ました。

「何?」

けっこう冷たい感じで聞かれました。うわっ、「コワイ人だなあ」と思いながら

「空手やりたいんですけど・・・」
と言うと、

「ああそう。じゃあこれに書いて」

と入会申込書を渡されました。
書いている時にその人は上着を脱ぎました。

もう、ビックリとしか言い様のないすごい筋肉でした。特に胸筋などは、それまでテレビや雑誌のグラビアかなどでしか見たことがない、実際にこんな人がいるのかと思うほどでした。そして手続きも終了して、一言二言、会話をしたと思うのですが、あまりのビックリでよく覚えてません。しかしこのOOG先輩との出会いがなければ、今日の自分はないという事など、この時には夢にも思ってもみませんでした。

帰り道は、ついに極真の一員になったといううれしさでいっぱいでした。これは本当に幼い時、物心付いた時からの夢でしたので、言葉では言い表せない程うれしかったことを今でも思い出します。



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